
2008.05.04 ニリンソウ
4/15に今年初めてのニリンソウを確認してから、約二十日間で満開になりました。今年はキクザキイチリンソウに勢いがなく、ニリンソウには勢いがありました。とは言っても、湖周辺だけのことで、
奥入瀬渓流では勢いがありません。チラホラと咲いているだけで、群生とまではいっていません。

この絵は、まるで漫画のように花が歌っているようです。そう見えるのは、ニリンソウやキクザキイチリンソウは向日性が強く、一斉に太陽の方向に花を向けるからなのでしょう。こういう花々を見ていると、植物だから当たり前と思ってしまいがち。
ところが、同じスプリング・エフェメラルの仲間のカタクリには向日性がありません。太陽を全く無視するかのように、ひたすら俯(うつむ)いています。これに関連して、ホントかどうかは知りませんが、嘗て、下記のようなテキストを書いたことがあります。
では、カタクリの秘密をお教えしましょう(^^ゞ
浅虫温泉の湯島(ゆのしま)には、4月10日頃から20日頃までカタクリが花を咲かせます。通常、カタクリは群生し、そのために一面のカタクリだらけといった風に咲き誇ります。その所為か、一般にカタクリの背丈は十数センチ程度です。ところが、湯島のカタクリは群生はするのですが、他の草花に埋もれるように咲いています。キクザキイチリンソウ、キバナノアマナ、エゾエンゴサクなどの同じスプリング・エフェメラルの仲間やトリカブトなどの成長の早い植物に、埋もれるように咲いています。これから先は、私とカタクリの語らいなのですが、埋もれるように咲く故に大きな個体だけが残りました。そもそもカタクリはユリ科ですが、代々、大きな個体だけが受け継がれるうちに、湯島のカタクリは本当に百合のように大きな花を付けるものも現れました。

2003.04.15 湯ノ島の斜面に咲くカタクリとエゾエンゴサク
さて、湯島は周りを海に囲まれています。カタクリの背景に、春の陽射しに海がキラキラと輝きます。山の中のカタクリとは風情が、断然、違います。湯島のカタクリは長年の間、一般の方々には知られることもありませんでした。地元の方々は盗掘を恐れ、ひっそりと守ってきたのです。それでも、数年前からは一般に公開されるようになりました。私はカタクリの季節には、湯島に通い、花と過ごす一時を楽しんでいました。

2003.04.15 背景に海が輝く湯ノ島のエゾエンゴサク
何日もカタクリの傍らにいるうちに、私にはある疑問が浮かび上がりました。島の南斜面から花が咲き出すのですが、北斜面にはどのように咲くのだろう。ご存じのように、カタクリはうつむいて、したがって斜面に添うように同じ方向を向いて咲きます。ですが、これは南斜面だからだろうと私は思い込んでいたのです。北斜面ではそうはいくまい。一般に植物には向日性があり、キクザキイチリンソウなどは朝と夕方では花の向きが違います。ところが、カタクリはそんな素振りを見せません。果たして、北斜面でも同じように、カタクリは綺麗に斜面に添って咲き出しました。つまり、
太陽に背を向けて咲いているのです。
ふざけたヤツだな、と私は文句を言ってみました。そうしたら、傍らのカタクリが呟きました。
「私はうつむいて咲きたいんです」
だって、あんた等、植物だろうが。
太陽に背を向けるってぇのは、一体、どんな了見なんだ。
「いえ、他意はありません。うつむいて咲きたいだけなんです」
本当だな。じゃ、斜面ではなくて、平地ならばバラバラな方向を向いているってのか。
それ以上、カタクリは答えませんでした。私は島の頂上の北斜面を降りて、海の間近の平地に咲くカタクリを観察してみました。驚いたことに、カタクリはうつむいて咲きつつも、てんでバラバラな方向を向いていたのです。なるほど、カタクリはうつむいて咲きたいだけだったのです。終わり(^_-)
上記がホントかどうか、ご存じの方がいらっしゃればお教え下さい。私は未だにそう思い込んでおります(笑)。

一面のニリンソウが、見事なお花畑になっています。こうなると、ニリンソウも、そろそろ終わりを告げることになります。既に溶け出した花もありました。スプリング・エフェメラルの仲間は、枯れるというよりも溶けるといった感じで姿を消し去ってしまいます。
広葉樹が葉を拡げる前に、急いで花を付け、6月頃には地上から姿を消し去ってしまいます。今年は広葉樹が既に葉を拡げていますから、ニリンソウにとっては厳しい春なのかもしれません。

そうであっても、ご覧のようにまだ蕾を付けている花もあります。一般に、スプリング・エフェメラルは春の儚(はかな)い命などと言われますが、どうして、どうして、私には春の強(したた)かな命と思えます。これだけの群落を作ることだけでも、他の植物を圧倒していますから。これが「儚い」ワケがありません(笑)。

最後のショットは、ファインダーから目を離してオート
フォーカスまかせでシャッターを押してみたもので、なかなか面白いと思いました。自分自身が花の中にいるような感じです。こうして、ニリンソウになってみるのも、面白い経験ですね。お試し下さい、お奨めなんでございます(笑)。
by 小笠原 雅彦
十和田湖を一周してきました2